【読書録】トムソン木下千尋編(2016)『人とつながり、世界とつながる日本語教育』
実は修論を書き終わった一年前の春休みに買っていた本。
ようやく、がががっと勢いに乗って、まずは読みたい部分を読むことができた。
日本国外の大学で日本語教育に携わっている身として、
トムソン木下先生の論考はいつもとても面白く感じる。
国外の外国語としての日本語(JFL)学習者に対する日本語教育を考えることが、
私にとっての生業ともなりつつある。
今回、この本を買った理由は、トムソン木下先生が編者であることと、
「トランスリンガリズム」と「継承日本語教育」が目次に出ていたからだ。
継承語のほうをダグラス昌子先生が書かれていたことも大きい。
この本を読んで考えたことを4つ。
①来年度の「上級文法」の授業をどうしていこうかということ。
この本でドルニェイのL2 self motivational systemを思い出した。
修論でも援用した理論だが、この考えを用いた授業設計ができないだろうか。
「上級文法」とはいえ、きっと学生の中にはN1所持者から、N3レベルまでいるだろうし、
どの学生のレベルに合わせても、どこかに不満が出る。
というか、そもそもこの考え方が、一斉授業から抜け出せていないことを表している。
だから、今回は…第1回目の授業で学生と相談、かな。
何を勉強したいか、自分はどうなりたいのか、でもそれぞれの仕事先ではどんな自分が求められているのか、
それを自分で考えてもらう。
そして、これまでの日本語学習経験を振り返ってもらって、
これからの自分にはどんな日本語学習が必要なのかを考える時間をとる、かなあ。
まあ、ひとまず、
これに関わる論考が2本載っていたので、しっかり読んで今後の参考にしたい。
②↑の授業について、実践研究としてまとめて、どこかで発表しよう
しっかり考えて授業を始めることができれば、
来年度、どこかの研究会、学会、シンポジウムで発表としてまとめよう。
これを思うと、とてもワクワクするのが…やっぱり研究が好きなのかもしれない。
(いやいやそれはきっと錯覚。)
③教室の中に学生を閉じ込めているのが今の現実
そう。でも、結局は、今の職場では、特に!、「つながり」はない。
相変わらずの一斉授業。
教室に学生を「閉じ込めている」のだ。
分かってはいたけど、改めて、読者に突き付けてくれた良本。
来学期は、せめて、同じ科目の他教師の教室とつなげてみようかな。
同じ思いを抱いている同僚と、相談しよう。
⑤自分の博論のテーマに悩む
うーん。やっぱり、こういう関係の本は面白かった。
自分の興味と、できること。
このはざまで揺れ動く、わたし。
もう少し、読書を続け視野を広げていこう。